TOP >  歌声の研究(ボイトレ研究)TOP >地声、裏声、ミックスボイス、チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイスとは何か?
2017.3.13更新 2015.5.19作成

地声、裏声、ミックスボイス、チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイスとは何か?

ボイストレーニングについて学んでいると、
地声、裏声、ミックスボイス、チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイスという用語が出てきます。

特に、高い声を出せなくて悩まれている方は、
「なんとか高い声を出せないものか」という気持ちでいろいろ調べていると出会う言葉だと思います。

しかし、難しいことにこれら用語は様々な意味合いで使われ、乱立し、収拾がつかない状態です。

乱立している要因を簡単に挙げると、
そもそもゴール(理想とする歌のスタイル、発声)自体が個人個人で異なるため、どのような声を○○ボイスと分類するかが違い、
●●ボイスという言葉の受け取り方自体も個人によって違いがあったり、
声帯の状態と響きの状態のどちらに着目するかによっても分類が違う
というのが現状です。

また、あらゆる言葉にも言えますが、間違った意味合いで使われた言葉が市民権を得て、みんなが使う用語になったりもしています。


声の種類の分類は乱立しているので、追求しなくてOK

このような状況下で、「△△氏の分類は間違っている」というようなことを言っても話は前に進みませんし、
本来の目的は、かっこよく歌うことであるはずですので、「正しい声の分類」を追求する意味はあまりないと考えます。

当サイトでの声の分類

声の分類について追求していくつもりはありませんが、全く分類しないのでは、トレーニングができません。
できるだけシンプルで、本来の意味に忠実で、今後のトレーニング内容の解説もしやすい形で分類いたします。

地声、裏声、ミックスボイス、チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイスは、声の種類ですが、大きく2分されます。

1.声帯の状態で分類した用語が、地声、裏声、ミックスボイス
2.響きの場所で分類した用語が、チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイス


当サイトでは、これら1と2は完全に別の概念として考えます

多くのボイトレの本やサイト等では、1と2を分けずに声を分類していますが、声帯の状態と響きの位置はわけて考えた方が、わかりやすいですし、トレーニングがしやすいですし、不調になったときもどこを修正すれば良いのかわかりやすくなるので絶対にオススメです。

地声と裏声は、作動している声帯回りの筋肉が異なるのに伴って、声帯の振動の仕方が異なり、声質に大きな差のある声になります。
(それぞれどういう筋肉が作動しているかは、別記事にて記載させていただきます。)

ミックスボイスは、裏声を出している状態で、地声系の筋肉を作動させることによって地声っぽくさせた裏声になります。

チェストボイスは、口の高さで響かせる声で、
ミドルボイスは、鼻~頭頂部の高さで響かせる声で、
ヘッドボイスは、鼻~頭頂部~それ以上の高さで響かせる声

になります。
簡単に図にまとめました。
尚、裏声やミックスボイスは、地声の限界の高さより低い音域も出ます。




体感的なイメージ図も下に示します。




なお、チェストボイス、ミドルボイス、ヘッドボイスは、SETH RIGGS(1992) 『SINGING FOR THE STARS』 Alfredにおいて、下のように定義されています。

「Chest Voice : Lowest tones feel like they travel out of your mouth」(低音で口から出ていく声)
「Middle Voice : A blend of chest and head sensations. It's the middle.」(チェストとヘッドを混合した声)
「Head Voice : Highest tones feel like they travel out of the back of your head」(高音で後頭部から出ていく声)
(SETH RIGGS,1992,p30)

このことからも、響きの位置で分類する用語であると考えられますが、上にも書いたように、響く場所に関しては当サイトでは、チェストは口の高さ、ミドルは鼻~頭頂部の高さ、ヘッドは鼻~頭頂部以上の高さに響きをとった声と定義させていただきます。

声帯削減の仮説について

高田三郎氏が提唱している仮説で、音を発する声帯靭帯の接触部分が2分の1や3分の1に削減することによって、高い声が出せるのではないかという仮説ですが、裏付けるデータに乏しいため、現時点では肯定も否定もいたしません。

(個人的には、こういう夢やロマンを追いかけて世の中に新しいものを提示しようとする姿は素晴らしいと思っています。
 私自身も何か独自のアイディアを世の中に提唱できたらなあと思ってやみません。)

【このページの参考文献】

SETH RIGGS(1992) 『SINGING FOR THE STARS』 Alfred
高田三郎(2008) 『高い声で歌えるデイリー・トレーニング・ブック』 リットーミュージック